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書評
—Hans-Joachim Kretschmann und Wolfgang Weinrich 訳 久留裕(順天堂大学教授・放射線医学) 真柳佳昭(東京警察病院部長・脳神経外科)—CT診断のための 脳解剖と機能系
Neuroanatomie der Kraniellen Computertomographie Grundlagen und Klinische Anwendung : Hans-Joachim Kretschmann und Wolfgang Weinrich
竹内 一夫
1
1杏林大学
pp.8
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205832
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- Abstract 文献概要
最近の脳の画像診断法の進歩は止まるところを知らない。そしてわれわれは日常この恩恵を十分にうけている。今や日本全国で多くのCT装置が"聴診器がわり"に使われていると言っても過言ではなかろう。しかし一方ではこれらの画像所見にふり回されている傾向さえみられる。往時,神経症状だけでは物足りず,血管撮影や気脳撮影などにより何とかしてより客観的な所見を得んご努力したことを想うと,夢のような変遷である。換言すれば今や情況は逆転した。すなわち簡便で,侵襲の少ない画像診断法の所見のみが先行し,十分な神経症状もとらぬままに診断し,治療をはじめるような風潮さえみられる。しかしいずれにしてもハンマーのみで十分診断が可能であると言われていた時代は過ぎてしまったことを卒直にみとめねばならない。
このような情勢下に本書が出版されたことは,まことに有意義なことである。著者らは実際の脳標本とCT所見を詳細に対比しつつ,形態診断と機能診断との橋渡しに成功している。この業績は直ちに神経学の臨床に価値ある指針を提供するものである。
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