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編集後記
金光 晟
pp.516
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205716
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- 文献概要
第38巻第5号をおとどけする。本号は「神経結合形成の諸問題」をとり上げて特集とした。軸索が成長して標的ニューロンにどのような機構で到達するかという結合形成の問題はニューロン説の確立(1891)とともに古く,今日でも神経発生学の中心的課題の一つとされる。His (1886)ならびにCajal (1892)による機械説と化学説は結合形成機構仮説の嚆矢とされ,とくにHarrison(1907)が成長円錐の動態を直視下に記載してからは成長円錐は標的認識の座と解され,以降のこの分野の研究は成長円錐に集中した観がある。Hisの機械説から今年は丁度一世紀ということになる。
各総説には随所に研究史が織り込まれて従来の研究経過が読みとれるとともに今日における問題点も理解できて大変読み易い総説となっている。いそがしい研究時間をさいて本誌のために執筆頂いた諸先生には心から御礼申し上げる。神経発生学は神経科学分野でも注目される研究領域であるが一般にはまだまだなじみにくい研究分野でもある。本号のささやかな特集が神経発生学の理解にひろく役立てば幸いである。
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