連載 症候学メモ・16
脱力を伴わない脱力感—重量覚障害による仮性運動麻痺
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.357
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205691
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◆力を入れていることが出来ないということで,いくつもの病院を訪ね,いろいろの科の医師に診てもらったが,いずれも運動麻痺はないといわれたといって,来診した患者がいる。確かに,徒手筋力テストをしても,筋体積をみても,腱反射をしらべても,通常の触,痛,振動,運動位置覚検査を行っても,その限りにおいては,何の異常もみられない。ということで新患担当医から相談を受けた。この症状の始まる2か月ほど前に左側頸部に鈍的な外傷を受けたことがあるということである。
◆問題は,患者がどのようにして,力が入らないと気づいているかにある,と思われたので,それを詳細に尋ねた結果をまとめると次のごとくであった。
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