Japanese
English
特集 多系統萎縮症—特にShy-Drager症候群を中心に
Shy-Drager症候群の臨床経過
Clinical Course of the Shy-Drager Syndrome
陸 重雄
1,3
,
松岡 幸彦
1
,
祖父江 逸郎
2
Shigeo Riku
1,3
,
Yukihiko Matsuoka
1
,
Itsuro Sobue
2
1名古屋大学神経内科
2国立療養所中部病院
3現:藤田学園保健衛生大学医学部神経内科
1Department of Neurology,Nagoya University School of Medicine
2Chubu National Hospital
pp.647-654
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205541
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I.はじめに
Shy-Drager症候群(SDS)はShyとDrager36)の報告以来四半世紀を経ようとしているが,この疾患をめぐる様々な論議はいまだ絶えることがない。疾患概念上の問題としては,特発性起立性低血圧症(IOH)にはじまり,オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA),線条体黒質変性症(SND),この両者を一括するmultiple system atrophy(MSA)などとの関連のみならず,これら疾患の独立性そのものにも疑問を投げかけ1,11,42,48),一方ではパーキンソン病との関係も重視されてきた1,16,33,45)。そのためSDSの示す内容にしても,IOHと同義に使用されたり,異なった病理学的背景をもつsubtypeが存在するなど研究者によって様々であった。さらに,本症の中心的自律神経症状である起立性低血圧(以下OHと略す)以外にも呼吸の異常など生命予後を左右しかねない問題も注目を集め12,18,23),本症の病態は一層複雑さをましている。
しかし,一方ではこれまで多くの症例が蓄積されてきた結果,臨床症状のほか薬理学的,生化学的,病理学的特徴が明らかとなってきており,SDSをどのようにとらえるべきか現時点における一定の結論を導き出すことが可能な時期にきていると思われる。
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