連載 症候学メモ・6
良い病歴
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.581
発行日 1985年6月1日
Published Date 1985/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205528
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◆神経内科で病歴がうまくとれるようになったら,神経内科医として一人前である,と教室の若い諸君に言っている。診療の中で最も難かしいのは病歴の聴取で,病気についての知識はもとより,症状の出現の形式,その変遷の様子などについても,知っていないと,良い病歴をとることができないからである。次の2つの病歴は同一患者のものであるが,初歩的なものと,もっと完全なものとを対比的に上げてある。この患者の病歴は長いが紙面の都合もあるので,不随意運動に関するところだけを抜粋することにした。患者は36歳の女性である。
◆まず初歩的な病歴を先に転記する。18歳の3月頃,本を持ったときに左腕がふるえるのに気づいた。安静時にはふるえなかったが,緊張したときには左腕を使わなくても左腕のふるえはあった。左腕全体が不規則にくねるようにふるえた。その後,この症状については進行も,改善もしていない。
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