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特集 神経系疾患のNMRによる診断
脊椎・脊髄疾患のMRIによる診断
Diagnosis of Spinal Diseases with Magnetic Resonance Imaging
町田 徹
1
Tohru Machida
1
1東京大学医学部放射線科
1Department of Radiology,Faculty of Medicine,University of Tokyo
pp.469-474
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205510
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はじめに
脊椎・脊髄疾患に対する放射線診断は単純撮影と脊髄腔造影が主であり,血管性病変には選択的脊髄血管造影が不可欠である。また高解像力CTの登場によりCTも脊髄腫瘍などの描出に不可欠の検査法といえる。しかし非常にX線吸収の高い骨に囲まれた脊髄自体の描出は困難なことが多く,metrizamideを髄注したCT脊髄腔造影の価値がより高い。一方.脊髄のように本質的に縦に長い構造物に対して軸方向断層を行うことは非能率的である。この意味からも近年臨床に応用されつつある磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging,MRI)は脊椎・脊髄疾患の診断に非常に有力な方法である。
また脊椎・脊髄領域は腹部や胸部と異なり,呼吸や心拍動による影響を受けることが比較的少ないため,撮像時間の長いMRIでも良好な画像をえることができる1)。MRIは骨によるartifactが全くなく,軟部組織におけるコントラスト分解能が高いため,骨髄や椎間板を直接観察することができるだけでなく,脳脊髄液と脊髄自体を容易に分離同定することができる。
なお核磁気共鳴映1象法(Nuclear Magnetic Reso—nance,NMR)という呼び方もなお一般的であるが,本稿ではAmerican College of Radiology's Commissionの提案に従い,MR (I)という呼称を用いることにする2)。
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