連載 症候学メモ・4
痛覚検査法—ピンとピンチ
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.336
発行日 1985年4月1日
Published Date 1985/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205489
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◆痛覚の検査には,通常針が用いられる。針にもいろいろあるが,筆者は好んで安全ピンを用いている。他のものより保持が確実で,一定の強さで刺激を与えられるからであり,また文字通り安全である。Creutzfeldt—Jakob病におけるtransmissibleagentが注射針などで伝播する可能性があることから,神経学的診察での痛覚検査の針は廃棄すべきであるという考えがある。我々もそのようにしているが,その取扱いにも安全ピンは具合がよい。
◆痛覚鈍麻の程度を完全に定量化するのは困難である。また,患者の応答をもとに評価するのであるから,厳密に定量化しようとしてもあまり大きな意義をもたない。しかし,実際問題としては,どの程度の鈍麻であるかを知り度いし,また経時的にどのように変化して行くかを知るためにも,gradingをしておくのがよい。筆者は患者の健常部を「10点」とし,鈍麻部を患者自身の採点で答えさせることによって,身体各部の評点を身体図に記入している。患者は「8点」,「5点」,「3点」などと痛覚鈍麻を採点するし,もし過敏なときは「12点」などと答える。この方法はベッドサイドで,器械もいらず,時間もかからず,ルーチンに用いられるし,また他の知覚検査にも同様に行える。
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