Japanese
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特集 神経系における性差
大脳半球のlateralizationの性差
Sex difference in cerebral lateralization
杉下 守弘
1
Morihiro Sugishita
1
1東京都神経科学総合研究所・リハビリテーション研究室
1Department of Rehabilitation, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.895-898
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205185
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ドイツの産婦人科医Bumm, E.は20世紀初めに美しい図入りの産科教科書を著したことで知られている。彼はまた,女性の脳に関する次の逸話でも有名である。彼は女性ばかりの聴衆に講演をし,「女性の脳の重さは男性の脳の重さより軽い」と話したところ,彼女ら聴衆の失望と驚きに気付いた。そして,すぐさま,次のように付け加えたという。「しかしながら,何人も時計塔の大時計が必ずしも小さな腕時計より正確な時を刻むものだとは言えないのであります。」
女性と男性の脳については,重量の違い以外にも,性ホルモンの脳への影響などによる相違が考えられる。近年,成人男性の左側頭平面は,成人女性のそれより大きい傾向があるという発表(Wada et al,1975)や,脳梁膨大の形が丸いことが女性では男性より多いといった研究(Lacoste-Utamsing and Hollowey,1982)がある。このような脳の差異は女性の脳の働きと男性の脳の働きが異なるのではないかという発想を促す。この問題は1970年代後半から研究が盛んになっており,本稿では,その概説を試みた。
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