Japanese
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総説
ヒト脳発生のクロノロジー
Chronology of the developing human brain
平田 幸男
1,2
,
志賀 隆
3
Yukio Hirata
1,2
,
Takashi Shiga
3
1東京都神経科学総合研究所解剖発生学研究室
2東京医科大学第一解剖学教室
3東京大学理学部動物学教室
1Department of Anatomy and Embryology, Tokyo Metropolitan Institute for Neuro-sciences
2Department of Anatomy, Tokyo Medical College
3Zoological Institute, Faculty of Science, Tokyo University
pp.643-654
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205147
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I.ヒトの個体発生:対象としての特異性
神経組織に限らず,ヒトの個体発生を対象とする場合,1.対象に試験的操作を加え得ないことは当然であるが,さらに,2.死胎を対象とする場合に,そこに生じている死戦期から死後に至るさまざまな,実験動物におけるそれとは比較にならぬほど大きい変化を避けることができない。そして,3.遺伝的に規定される個体差の幅も,実験動物のそれに比べてかなり大きいことが予測される。以上から発生過程の解析は,制約条件の少ない実験動物においてなされることが圧倒的に多い。そしてこれら実験動物による所見を外挿してヒトの発生過程を理解しようとすることが頻々である。しかし,多くの実験動物,とくに小哺乳動物からの観察所見が,しばしば極めて安易にヒトの発生段階についてあてはめて解釈されている例が見受けられる。
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