Japanese
English
特集 閉塞性脳血管障害
脳梗塞と一過性脳虚血発作の疫学
Epidemiology of cerebral infarction and transient cerebral ischemic attack in Japan.
田中 平三
1
Heizo Tanaka
1
1大阪市立大学医学部公衆衛生学教室
1Department of Public Health, Osaka City University Medical School
pp.17-32
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205052
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I.はじめに—疫学の概要—
脳梗塞と一過性脳虚血発作(TIA)の疫学的知見を,以下のような疫学の概念に基づいて記述する。
疫学を概括すると,図1のようになり,これを疫学のサイクル(epidemiologic study cycle)という。疫学の第1段階は,現象論ともいわれるもので,人間集団における疾病の一般像(疫学的現象)を記載する。疾病について,人間(性別,年齢別,人種別など),時(年次推移,季節変動など),場所(国別,府県別など)の分布を記載することで,人口学の原理を疾病に拡張したものである。記載疫学がこの段階を受けもつ。このように,人間,時,場所に関する変数について疾病の頻度を記載するのは,研究の便宜上,ひとまず分類しているだけで,原因となる要因の分類をしているのではない。これらの変数は,必ずしも当該疾病と因果関係があるわけではない。疫学的仮説を設定するための糸口(clue)を得るために,単に記載するにすぎない。
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