書評
—編集 J.R.Daude,B.A.Sandok,T.J.Reagan,B.F.Westmoreland,訳 大西 晃生(九州大学医学部脳研究所神経病理・神経内科講師),納 光弘(鹿児島大学医学部第3内科助教授),岡崎 春雄(メイヨー・クリニック,メイヨー医科大学神経病理教授)—臨床神経学の基礎—メイヨー医科大学教材
荒木 淑郎
pp.946
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205008
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新しい臨床神経学のテキスト—基礎と臨床とを統合し,最新の知見を網羅した画期的良書—
本書は,メイヨー医科大学のme—dical neuroscience (内科的神経科学)に関する学生用のテキストで,第1年目の学生(日本の医学専門課程の1年目に当る)を対象として川いられているものを,私の畏兄である大西,納,岡崎先生が共同で翻訳されたものである。大西,納両先生は,若手の前途有望な研究者かつ教育者であり,岡崎先生は,メイヨー医科大学で研究,教育の策一線にある国際的な方であり,本書を手にとると三人の息のあつた翻訳への熱意が伝わつてくるように感じられる。
医学部の教育に関しては,教える側と教えられる側が,ともに満足するカリキー・ラムが一番望ましいのであるが,なかなか理想的なものはないのが現状であろう。しかし最近,新設の医科大学を中心に,カリキュラムの検討が進められ,従来の基礎医学と臨床医学との分離された教育をかえて,両者を統合したカリキュラムが作られ,学生の理解を深めようとする試みが実施されている。かつて私が勤務した川崎医大でも,米国の新しいカリキュラムがとり人れられて,神経学に限らず,すべての講義は,基礎と臨床とが連結した形で行われている。学生は,神経の構造と機能を学びつつ,臨床の問題を学ぶことができて,人きな効果をあげている。学生の教育を重視すれば,このような形がのぞましいのは当然のことと思われる。
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