特集 癌治療のプロトコール2005-2006
Ⅲ.大腸癌治療のプロトコール
兵庫医科大学第2外科
外賀 真
1
,
柳 秀憲
1
,
山村 武平
1
1兵庫医科大学第2外科
pp.117-125
発行日 2005年10月22日
Published Date 2005/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100214
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はじめに
近年,大腸癌に対する標準療法が検討されているが,それらの概要は,限局した病変を有する切除可能症例に対する外科治療(+術後補助化学療法)か,再発・切除不能症例に対する化学療法を中心としたpalliative treatmentのいずれかを選択して,それぞれ専門家が行っていくというものである.
切除可能症例に対する外科手術は,癌に対する根治性だけではなく,機能温存・低侵襲性も必要である.再発・切除不能進行大腸癌症例の治療に関しては,化学療法はpalliationであり,ほとんど治癒が望めない.その理由の1つとして,切除不能・再発症例では,化学療法剤の治療用量に対して腫瘍細胞の総数が多すぎるために,total cell killに至る症例はわずかであり,遺残癌細胞が急速な再増殖をきたすために制御不能となり死に至ると言われている1).そこでわれわれの施設では,再発・切除不能症例であっても,一度に大量の腫瘍細胞を除去できる手術を化学療法と組み合わせることによって,さらなる延命と治癒をはかる戦略を立てている.幸い,大腸癌では原発巣,転移臓器とも手術侵襲は比較的軽度であり,積極的切除手術とともに機能改善を行うことが可能であるため,quality of life(QOL)の向上も期待できる.
本稿では,大腸内視鏡下で行う小病変に対する治療は割愛し,進行大腸癌に対する集学的治療方針を中心に解説する.
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