書評
—J. C. Boileau Grant 著 森田 茂(東京慈恵会医科大学教授) 楠 豊和(横浜市立大学教授) 訳—グラント解剖学図譜—Grant's Atlas of Anatomy, 6th ed.〈日本版〉
寺田 春水
1
1北里大学
pp.277
発行日 1978年3月1日
Published Date 1978/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204212
- 有料閲覧
- 文献概要
グラントの解剖学図譜といえば,J.C.B.Grantの有名な3部作,すなわち図譜(An Atlas of Anatomy),教科書(Method of Anatomy)および実習書(Dissector)の核心をなす名著である。ドイツ系の解剖図譜と比べてはるかに実用向きにできており,それはアメリカの医学生の9割以上がグラントの図譜を用いて解剖学実習を行なつていることでもわかる。実習の順序に従つた局所的な配列をとりながら,内容はいわゆる局所解剖図譜とは全く異なり,系統解剖学的な図やグラント独特の模式図とか変異・破格を示す図が局所ごとにたくみに配置されている。また各図には適切な註のほかに,観察すべき事項に関する説明文がついているのも特徴といえよう。
このグラント解剖学図譜第6版の日本語版が,森田茂・楠 豊和両教授の共訳で出版された。訳文はおおむね正確で,こなれた日本文になつている。また訳者の細かな配慮が各所に行き届いている。例えば各図の引出線のタカリの解剖学名は日本名(細丸ゴシック体)と英語名(ボールド体)が見やすく併記されている。説明文の活字は註が9ポイント,観察事項が8ポイントに統一されている。英文索引の後ろにある和文索引は引きやすい完備した形になつている。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.