書評
—松井 孝嘉・平野 朝雄 著—CT Scan診断のための脳解剖図譜
高橋 睦正
1
1秋田大学医学部
pp.74
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204188
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コンピューター断層撮影法(CT)がはじめて臨床に導入されたのは,1972年であるが,その後,CTは全身の疾患の診断に広く応用されるようになつた。中でもCTは神経放射線学の中で最も重要な検査法となり,CTが応用されない中枢神経疾患はほとんどないといつても過言ではない。
このような矢先,本書のような脳のCT解剖の優れたアトラスが出版されたことは時宣を得たことであり,誠に喜ばしいことである。本書の構成はCTに関する概説と,脳のスライス標本の美しい写真とからなつている。概説には約60ページがあてられ,CTの歴史,原理,実施法,各種の機種の特徴などが多くの写真,シェーマを用いて簡潔に要領よく記載されている。残る410ページ余りは脳のスライス標本のアトラスであるが,正常脳を多くの断面でスライスした写真を示している。写真はすべてきれいな正常脳標本であり,アトラスを通覧していくだけで立体的な脳の解剖がよく理解できる。スライス面は眼窩耳孔線から,0,10,15,20,25,30,40,50,60,度の角度できられたものであり,スライス幅は6mmから7mmである。ほとんどの標本が脳を上方からみたように示されているが,多用される15度と20度においては標本を下方からみた写真も示され,また,15度と20度の写真にはシェーマと詳しい解剖名が付されている。
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