書評
『カラーアトラス神経病理 第3版』―平野朝雄・編著
久保田 紀彦
1
1福井大学脳脊髄神経外科
pp.70
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100549
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神経病理の入門書である『神経病理を学ぶ人のために』の姉妹版として1980年に初出版された『カラーアトラス神経病理』の第3版が,第2版から18年ぶりに改訂され,出版された.本書は,著者の平野朝雄教授が「まえがき」で述べておられる如く,実物を本から学び取れるように,すべて美しいカラー写真で統一されている.改めて最初からつぶさにカラー写真を観察し,所見の解説を読むと,まるで私が25年前のMontefiore病院の剖検室に戻ったような錯覚を起こした.
まず,頭蓋骨,硬膜,脳,脊髄表面の肉眼病理所見から観察し,脳と脊髄の割断面を観察する.肉眼所見と同じ標本の光学顕微鏡所見を対比しながら読むと,実像が明瞭化し,興味が尽きない.通常,教科書は通読するような構成になっているが,本書は常に異なった頁の関連図を読むように工夫されている.著者が最も強調されている如く,正常構造と異常構造の対比が異常所見を探すのに役立つ.そのため,正常の肉眼および顕微鏡所見を詳細に解説している.さらに,サイズを考慮して病的所見を観察できる工夫がなされており,異常所見がわからない場合には,正常所見と比較しながら観察すると大変わかりやすい.
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