Japanese
English
総説
頭部外傷に続発する慢性脳病変の形態(I)
Posttraumatic Chronic Encephalopathies: Neuropathologicai Review and Investigation (Part I)
吉村 教皞
1
,
生田 房弘
1
Noriaki YOSHIMURA
1
,
Fusahiro IKUTA
1
1新潟大学脳研究所神経病理
1Dept. of Neuropathology, Brain Research Institute, Niigata Univ.
pp.13-27
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203826
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
頭部外傷は神経学にたつさわる者にとつて余り身近かにすぎる病態であるたあか,あるいは多くの難解な問題点をもつ地味な分野であることもあつてか,これに対する検索や考察はややもすれば表面的になりがちのように思われる。しかし今日頭部外傷の絶対数は依然として多く(Tables 1&発症の発現によつて不良な慢性の経過をとつており,そのような症例が近年増加しつつあるといわれる。
その臨床像は,理論的には外傷による一次性病変と,それに引き続き起る二次性・続発性病変の総和を反映しているはずである。それが後述するように多様な様相を呈するのは,機能分化が最高に進んだ脳という器官の特殊性に依つており,そ2.交通事故の約70%が頭部外傷を伴つているという),しかも頭部外傷の中で重症例や慢性例の占める割合が増加している。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.