Japanese
English
総説
頭部外傷に続発する慢性脳病変の形態(II)
Chronic Cerebral Diseases Secondary To Head Injury: Neuropathological Review and Investigation, Part II.
吉村 教皞
1
,
生田 房弘
1
Noriaki Yoshimura
1
,
Fusahiro Ikuta
1
1新潟大学脳研究所神経病理
1Dept.of Neuropathology, Brain Research Institute, Niigata Univ.
pp.129-140
発行日 1976年2月1日
Published Date 1976/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203838
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D.正常髄液圧水頭症
Normal Pressure Hydrocepbalus (NPH)(Figs D1〜10 )
dementiaを主徴とする多くの疾患が殆んど根本的治療が不可能である中にあつて,本症は外科的吻合術により治療可能な痴呆症の一型1,8,10)として,Hakim,Adamsら1,8)がその名を提唱して以来,次第に注目されてきている。
頭部外傷による場合は,脳挫傷などの受傷後すでに意識障害のとれた患者が数週ないし数か月の間に知的活動の低下が徐々に発現する。初めのうちは記銘力低下が著しくKorsakoff症候群を呈したり,自発行動が低下し,歩行障害も現われる。さらに進行すると,歩行不能,無言症に発展する。尿失禁も出現する。頭痛,嘔吐などは通常ない。髄液圧は高値を示さず(200〜180mmH2O以下),気脳写で脳室の著明な拡大と大脳凸側部クモ膜下腔の空気充盈欠如がみられ,この検査後に症状の悪化をきたすことが多い。RIHSAなどによる脳室造影ではisotopeの脳室内遅延停留が認められる。脳外科的shunting operationで髄液圧をさらに下降させると諸症状が劇的に改善することなどが知られており,これらが一般に本症の臨床診断基準とされている1,8,13,14)。
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