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English
特集 脊椎脊髄疾患の鑑別上,知っておきたい疾患
Lambert-Eaton筋無力症候群
Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome
今井 富裕
1
Tomihiro IMAI
1
1国立病院機構箱根病院脳神経内科
1Department of Neurology, National Hospital Organization Hakone Hospital
キーワード:
歩行障害
,
gait disturbance
,
小細胞肺がん
,
small cell lung cancer
,
反復刺激試験
,
repetitive nerve stimulation
Keyword:
歩行障害
,
gait disturbance
,
小細胞肺がん
,
small cell lung cancer
,
反復刺激試験
,
repetitive nerve stimulation
pp.735-740
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380110735
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はじめに
Lambert-Eaton筋無力症候群(Lambert-Eaton myasthenic syndrome:LEMS)は,シナプス前終末の活性帯からのアセチルコリン放出障害によって,四肢の筋力低下などの神経筋接合部障害や口渇などの自律神経症状を呈する自己免疫疾患である6,12).本邦でのLEMSの有病率は10万人あたり0.27人とされ,まれな疾患といえる23).神経筋接合部障害の原因として,悪性腫瘍に対する免疫反応で生じる自己抗体が知られており,傍腫瘍性神経症候群の1つと考えられているが17),悪性腫瘍の合併はLEMSに必発ではない.また,LEMSの発症に関与する自己抗体として電位依存性カルシウムチャネル(voltage-gated Ca2+ channel:VGCC)に対するVGCC抗体が知られているが,診断基準上は必ずしもVGCC抗体が検出される必要はない16).LEMSを診断するうえで最も重要なのは電気生理学的所見であり,LEMSはEatonとLambertが示した電気生理学的特徴3)を有する症候群と考えることができる.
一般的に,LEMSの筋力低下は下肢から発症することが多いため,起立・歩行障害や下肢の易疲労性による間欠性跛行を主訴とする脊椎脊髄疾患との鑑別が必要となる.

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