症候群・徴候・37
Dejerine-Roussy (デジュリン・ルシイ)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.525
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203711
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一般にはいわゆる視床症候群の別名とされている。事実,「視床症候群」は1906年にDejerineとその門下生Roussy (仏)により,また,翌1907年,Roussyの博士論文として発表された。その臨床症状は病変の反対側半身に現われる①持続性の表在知覚鈍麻(または過敏)と必発する強い深部知覚障害,②回復性で軽い麻痺,③軽い運動失調と明確な立体覚失認,④持続性,発作性の激しい疼痛,⑤choréo—athétose型の不随意運動,を特徴としている。
ここで注意すべき点は,これら症状が血管障害による視床外側核外後部を中心とし,その周辺をまきこんだ病変により生じたもので,視床全体の症状を示しているのではないことである。いいかえれば,Dejerineet Roussyが指摘した症候群は視床の一部の症状,特にその知覚中継核を中心とした症状であつた点である。視床は当時において,既に多種機能をもつことが知られており,知覚についての役割の他に,運動に関する諸機能,植物機能,精神反射機能などについても,Roussyが詳細をまとめている。そのような中で,上記の臨床症状と視床病変とが一対一対応を示すことを確認し,生前の臨床例においても,症状から病変を指摘しうるものであるとした点にこの症候群の意義がある。
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