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梅毒性Darier-Roussy型皮下類肉腫症例
西村 長應
1
,
出來 利夫
1
1和歌山縣立醫科大學皮膚科泌尿器科教室
pp.103-106
発行日 1950年3月1日
Published Date 1950/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200322
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緒言:
皮下類肉腫は1905年Darier, Roussyによつて詳細な報告が行われ,その組織像より結核性である事が主張せられた。然るにPautrier及びRavoutはDarier-Roussy型皮下類肉腫中には梅毒性のものが存する事を記載し,又Volkは皮下類肉腫の組織像は一種のアレルギー性反應型(Sarkoidcr od,lupoidallergischer Reaktiontypus)で結核に特有なものではなく梅毒,癩,スポロトリコージス等に於ても同様な組織像を呈する事を主張した。現在故太田教授が指摘せられた如く皮下類肉腫を一つの徴候群と見做し,之に結核性,梅毒性を區別するのが妥當とされている。歐米に於てもFinger,Pautrier,Gollgerot,Tzank,Pelbori等は同樣な意見を述べている。梅毒性皮下類肉腫は一般に慢性に經過し,皮下の板状或は硬結を以て始まり,徐々に遠心性に擴大し中心部は一部吸收せられて平坦となり,下部組織との癒着は比較的少いが,表面の皮膚とは漸次癒着して紫紅色を呈し,決して破壌或は軟化を來さない。又結核性のものとはその臨床所見及び組織像より鑑別する事は不可能で,唯々驅梅療法によつて速かに治癒する事によつてのみ鑑別せられ,その臨床的及び紅織學的所見より第3期梅毒に於て護謨腫と共に一つの獨立した病型であると考えられる稀有な疾患である。
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