症候群・徴候・35
Claude (クロード)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.427
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203697
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1912年にH.Claude (仏)は「赤核部の中脳症候群」と題して,今日赤核症候群のグループの1つに数えられている1例を報告し,同年,さらにその解剖所見を追加報告した。右側の病変側で動眼神経の完全麻痺による眼瞼下垂,複視を訴え,眼球は外転固定し,瞳孔は散大し対光反応を示さない。一方,左側の病変反対側では上下肢は筋力正常で,簡単な動作は行ない得るが,複雑な運動に際して強い運動失調ataxie,共同運動障害asynergie,adiadococlnésieがみられ,筋緊張障害は著明でない。患者は起立不能で,立たせると上体が前後左右に動揺し,左に倒れる傾向を示し,あたかもマネキン人形を立たせようとする如くであつたと記している。
脳所見では軟化巣が中脳下部の高さでは上小脳脚の交叉の上で右側にあつて,赤核の内側半分以上を破壊し,後縦束にまで達している。その上の方では赤核の全域を,さらに上では赤核の内側部を限局性に破壊,また動眼神経線維,動眼神経核も損傷している。しかし,黒質,大脳脚,内側毛帯などは無傷であつた。
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