書評
—高橋 良・宮本 忠雄・宮坂 松衛 編,中根 晃・矢崎 妙子・霜山 徳爾・小林 貞孝 著—幻覚の基礎と臨床
大橋 博司
pp.484-485
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203103
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この本の書評を依頼されてから,気になりながら今日まで延びのびになつてしまったことをまずお詫びせねばならない。というのも,「幻覚」の問題がきわめて多面的で,「意識」とか「妄想」と同じく,いやそれ以上に精神医学の大問題であるため,つい筆が重くなってしまったわけなのである。しかしいつまでもその責をはたさないのも申訳けないので,内容紹介旁々,二,三の感想を述べることにする。
東京医科歯科大学精神科のグループが「幻覚」に関するモノグラフを計画されている,ということは,もう随分と前におききしていたように思う。一つの教室だけでそのメンバーズが精神病理学にせよ身体病理学にせよ,それぞれの領域から幻覚を多面的にとり上げて,これを一つの書物にまとめ上げた,という例はこれまでに全くなかつたと言えよう。こちらも待たされた甲斐があったというもので,編集にあたられた高橋,宮本,宮坂の氏にも,また執筆者の方々にも敬意を表する次第である。
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