追悼 高橋良教授を悼む
長崎時代の高橋良先生
中根 允文
1
1長崎大学医学部精神神経科学教室
pp.1382-1383
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204636
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東京医科歯科大学医学部教授・長崎大学名誉教授高橋良先生は,昭和63年9月2日午後6時41分に肝不全のために,享年61歳で急逝された。昭和52年4月にイラン・テヘランで開催されたWHO研究者会議のあと,肝疾患にかかられてからは十分に健康に留意されており,日常生活も全く普段とはお変わりなく活躍しておられたのに,いつの頃からか重篤な肝癌にも罹患され,ついには突然のご逝去となった。ご家族の悲嘆は計りしれないほどのものとお察しするが,傑出した指導者の一人を失ったことに我々もしばらくは言葉もなく為すべきことも知らなかった。
高橋教授は,昭和44年8月1日付けで,東京大学助教授から長崎大学医学部教授として赴任された。当時は国内の他の大学と同様に,長崎大学医学部にも改革の嵐が強く,着任された頃は大学病院長室に教授や教官が交替で泊まって不測の事態に対応できるようにしていなければならない状況であった。そのような機会に,何度か夜遅くまで将来の研究の有り方についてじかにお話し合えたのが強く思い出される。未だ少壮の教授の一人であった先生には,大学運営上の面での期待も寄せられていたが,それらを厳正な姿勢と大きな包容力で乗り越え,徐々に研究・診療・教育のそれぞれに着実な成果を挙げていかれた。
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