書評
—小島 徳造 監・後藤 昇 著—脳・脊髄血管の解剖
牧 豊
1
1千葉大脳神経外科
pp.371
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203086
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神経学を共通の基礎とした臨床—神経内科・神経外科・神経小児科・神経眼科・神経耳科・神経精神科・神経放射線科など—の臨床医にとつては脳・脊髄そのものの構造を習得するだけでなくその栄養血管の解剖を是非とも習得せねばならない。特に脳血管障害の疾患群の理解にはその正確な知識は必須である。従つて臨床側から望まれる血管の解剖書とは,血管を脳・脊髄の構造との関連において説明した理解し易いシェーマの多い解剖書であり,かつ,その中に各栄養血管の障害による臨床症候の解説が加えられていれば甚だ便利である。
ところが,従来の解剖書は脳・脊髄血管に関しては余り臨床的要求には応えてはくれてない。昔話になるが前脈絡動脈の結紮がパーキンソニスムの治療効果があるとCooperが報告したときは1つの驚きで,その供血領野のvariationの再検討が迫られたことがあつた。すなわち,吾々臨床医には血管走行や供血領野などのvariationやその統計の知識も大いに必要なのである。
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