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編集後記
臺 弘
pp.973
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202961
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- 文献概要
抗精神病薬に副作用としてパーキンソン症状が現われることはよく知られている。しかし従来は,薬をやめればこの症状は消えるし,それが固定的な後遺症としてあとまでつづくことはないといわれてきた。ところが抗精神病薬が生れてから15年以上もたった今日になると,長期服薬者の中に持続的な神経症状をのこす人が現われはじめた,口や顔や頸の不随意運動を主とする遅発性dyskinesiaといわれるものがそれである。報告によれば10〜30%の数にのぼるともいう。このような症例は我国でも散発的に指摘されていたものの,はつきりした形で打ち出してきたのはアメリカでの話である。アメリカではすでに医療過誤として訴訟にもちこまれたケースもあるという。
SMONに似たパタンだと誰しもが考える,よかれと思つてした医療行為が,長い年月の間に裏目に出て,患者に苦しみを与え,医者を悩ませる。
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