海外だより
最近の西ドイツの脳神経外科施設
早川 勲
1
1東京都立墨東病院脳神経外科
pp.968-970
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202959
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筆者は東京都海外研修員としてこのたび3年ぶりに再度渡欧する機会を得,西ドイツの脳神経外科施設の変貌ぶりにじかに接することが出来た。今回の渡欧の目的は,東京都における交通災害等による脳外傷治療体制の確立という社会的要請にもとずき,墨東病院などを中心とした都立病院脳神経外科病棟の拡充計画とも関連して,西ドイツにおける脳神経外科施設の現状を視察することにあつた。
頭部外傷が社会的大問題として取りあげられたのは西ドイツも日本と事情を相似する。しかし,それに対応する仕方には差がみられ,さすがにドイツらしい徹底した対応がみられた。その現われが,連邦政府社会労働省Bundesministerium für Arbeit und SozialordnungがTönnis教授らに委嘱して行なつた"重症頭部脳外傷の治療機構"Organisation der Behandlung schwerer Schä—del-Hirnverletzungen (1968)として結実した。これは出来る限り詳細に西ドイツ国内の頭部外傷患者の実態を明らかにすると共に,治療,及び予後の分析にまで調査検討を加え,その結果にもとずいて西ドイツ国内に実際に必要とされる脳神経外科施設の設置場所,及び数を算出したものである。西ドイツにおける脳神経外科施設の最近の充実は実にこのTönnis教授らの答申による処が大きいと思われる。
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