後頭部痛を主訴とした前立腺癌の頭蓋骨転移の1例

SKULL METASTASIS FROM PROSTATE CARCINOMA:REPORT OF A CASE

Ｉ．緒言

　前立腺癌は，それ自身による臨床症状，たとえば排尿障害などを起こすのが遅く，臨床的に前立腺癌と診断されたときには，すでに転移を発生している場合が少なくないといわれている。市川^1）は初診または入院時の転移発見率は15.9％と報告している。また，Franks^2）は臨床的に診断された症例の剖検で，53例中の77.4％に転移を証明し，前立腺癌の早期かつ広汎の転移の可能性を述べている。

　転移のなかでも，血行性転移によるものでは圧倒的に骨への転移が多い。しかしながら，頭蓋骨への転移はきわめてまれで，剖検でなく，生存中に頭蓋骨転移の発見された例は，本邦では報告されていない。

We reported a very rere case with which the first symptom of the prostata carcinoma began severe headache due to metestasis of the skull. In the case of showing the destruction of the skull, it is neces-sary to consider metastasis from malignant tumor besides bone disease.