脳腫瘍アトラス4
Medulloblastoma, Pituicytoma
佐野 圭司
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.850-851
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202578
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Medulloblastoma (髄芽腫)
Bailey & Cushing (1925)によりこのように命名され,外胚葉性のものであることが確立された。それ以前はその組織像の酷似と,髄液腔内転移がしばしばみられることから肉腫と考えられていたのである。しかし現在もこれを肉腫と区別できないという学者もある。小脳に胎生時みられる外顆粒層は生後1年にしてまもなく細胞が内方に移動することにより消失するが,この遺残が一部,小脳虫部のnodulusの基部に近く後髄帆のなかに残つている。medulloblastomaはこのcell-restsから発生すると考えられている。すなわちこの部には古くScharperよりindifferente Zellenと名づけられたbipo—tentialな—すなわちglia細胞にも神経細胞にもなりうる—細胞がある。Bailey & Cushingはこの細胞をmedulloblastとよんだ。これからmedulloblastomaが発生するというのである。同義語として,neurospongi—oma (Roussy & Oberhng),neurogliocytome embryon—naire (Masson),granuloblastoma (Stcvenson & Echlin)などがある。
第1図のようにmeclulloblastomaは圧倒的に小児に多い腫瘍で,10歳前後にピークがある。またやや男性に多い。小児のgliomaのなかではもつとも頻度が高く,27%を占めている。
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