神経組織化学アトラス2〈正常編2〉
カテコールアミンおよびセロトニンの螢光組織化学
藤原 元始
1
,
田中 千賀子
1
1京都大学医学部薬理学教室
pp.438-442
発行日 1968年5月1日
Published Date 1968/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202372
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乾燥した蛋白層では,蛋白が触媒的に働いてcatecholamineあるいはserotoninはformaldehydeと容易に次頁の図5のような反応を呈する。すなわち,dopamine (I), noradrenaline (IV), adrenaline (VIII)は3,4—dihy—droisoquinoline体(III,VI,X)に転じ,さらに一定条件下にはquinoid型(IIIa,VIa,Xa)となる。一方,serotoninおよび5—hydroxytryptophan (5—HTP)(XIV)は同様に6—hydroxy−3,4—dihydro—β—carboline (XVI)に転じる。これらは螢光物質であり,その励起および螢光波長はIIIa,VIa,Xaでは410/480mμ,XVIでは410/525mμであり,組織切片とモデル標本の成績の一致することが顕微鏡螢光分光法により確認されている。したがつて,凍結または空気乾燥組織標本を一定湿度のformaldehyde gasで処理し,paraffin包埋,薄切後適当な一次二次フィルターを用い,螢光顕微鏡下に鏡検すると,catecholamineは緑色,serotoninは黄色螢光として観察し得る。これらの代謝産物は本螢光物質への転化反応を示さないが,それぞれの前駆物質であるdopaまたは5—HTPは緑色および黄色螢光を呈するので,その鑑別には薬那学的手段によらねばならない。
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