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今日脳神経外科や神経科の診療にたずさわろもので脳室撮影や気脳撮影を器質的脳病変の診断に用いたことのないものはあるまい。このふたつの診断法はともに米国の脳神経外科の開拓者Walter E.Dandyによって創始されたものてある。今年——1968年——はDandyが最初の論文"Ventriculography following the injection of air into the cerebral ventricles"(Annals.of Sur—gery,68:5-11,july,1918)を発表してから50年後にあたることになる。
Darldyは師匠のHalsted教授(Johns Hopkins大学の外科教授。今日でも同大学病院では外科病棟にHalstedの名を冠している,内科病棟が著明な内科教授であったOslerの名を冠しているのと同様に)が腹部疾患にさいして腸内ガスが種々の形にレ線上に造影されるのを常日頃指摘していたのにヒントを得て脳室内に空気を入れる(したがつてかれはpneumoventriculographyと呼んだ)ことを思いついたのだと述べている。かれの最初の論文には水頭症のこどもの脳室を大泉門側角部から穿刺して造影したことしかかいてないが,2年後には成人の脳腫瘍患者にも頭にburr holeをもうけて脳室穿刺を行ない,脳室に空気を注入して今日行なわれているのとほとんど変わらない脳室撮影を行なつているのである(Lo—calization or elimiation of cerebral tumors by by ven—triculography,Surgery,Gynecology and Obstetrics,24:329-342,Apri1,1920)。
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