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特集 第24回日本脳・神経外科学会・I
シンポジウム:脳腫瘍の病理・生化学・1
脳腫瘍およびマウス脳微細構造中にみるいわゆるglycogen穎粒の観察
Fine Morphological Studies on the Glycogen Particles Noted in Brain Tumors and Normal Mice Nervous System.
生田 房弘
1
1新潟大学医学部脳研究所神経病理
pp.209-217
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202001
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I.まえがき
Von Gierke病9)18),Pompe病15)などおそらくは糖代謝に関興する種々の酵素異常からglycogenの異常な蓄積を招くいくつかの疾患群と神経組織とは不可分の関係にあり,他方悪性腫瘍患者の糖代謝異常もとくに注目されつつある現状である。近年における種々の生物学的検索法の発展にともない,こうした糖代謝をめぐる多数の新らしい研究のなかで肝および筋を中心に進められたいわゆるglycogen顆粒(以下単に顆粒または顆粒群と略)も最近あらためて電子顕微鏡(以下電顕と略)下での観察が進められてきた2)17)22)。
一方神経系組織から,あるいは頭蓋内から発生した腫瘍の電顕下での研究もすでに角田23),Luse14),小泉11),石田8)らをはじめそれらの微細構造上の特徴について多くの報告が集積されてきたので,本稿では,人あるいはマウスに実験的に作つた種々の腫瘍を電顕下で観察した結果きわめて大量の顆粒群がglioblastoma中に認められることを知ったので,特にこうした顆粒のみに主眼をおいて,それと正常マウス新生児大脳皮質や脈絡叢細胞および肝などに見られる顆粒相互間に認められた電顕的観察結果の異同についてのべたい。
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