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あとがき
萬年 甫
pp.672
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202072
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今年も各地で学会が開かれ,また開かれようとしている。それに日本内部だけでなく国際学会もさかんで,関係領域のすべてに出席したらとても席のあたたまるいとまもないと思われる。文字通り東奔西走ということになる。十分ねらいをしぼつて出席することにしないと時間と経費が追いつかない。
それにつけて思い出すのは10年前訪れたオスロー大学解剖学教室のプロダール教授の言葉である。その年の秋にベルギーで神経学の大きな学会があり,神経解剖学者として著名な氏は当然それに出席すると思われたので,そのことを問うと,演題に興味のあるものが少ないし,それに旅費がでないから出席しない,それよりも研究の方が大事だという答が返つてきた。ヨーロッパの北にあるとはいえ,日本よりはるかに近く,生活水準も日本よりは上と感じていた矢先とてちよつと意外であつた。これがヨーロッパ流の合理的精神の現われかと思つたりした。
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