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特集 脳の電気活動と行動
扁桃核・海馬発作波に伴う行動変化に対する脳幹の関与
A Contribution of the Brain Stem to behavioral Changes during Amygdaloid and Hippocampal Seizures
原 俊夫
1
1慶応義塾大学医学部神経科
pp.167-174
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201995
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I.はじめに
扁桃核や海馬をはじめ,大脳辺縁系が刺激によって容易に発作波をおこし,その刺激閾値が他の脳部にくらべて非常に低いことはよく知られている。しかも,これら発作波の出現中に,自動的な体制運動や情動の変化ならびに自律神経症状などの多彩な症状を呈し,それがてんかんの精神運動発作に類似しているという点で特に興味がもたれている。ところで,情動変化や自律神経症状は,間脳や中脳の刺激で生ずることは古くから知られていて,扁桃核・海馬の発作波にともなうこれら症状も脳幹が何らかの形で関与するために生ずるのではないかと考えることもできる。そのうえ,精神運動発作の主要症状の一つである意識障害(意識変容)を考慮に入れると,脳幹の役割はかなり大きなものといいうるであろう。
この問題に関する研究は多くの学者によつてなされてはいるが,ここでは,観察や記録が最も容易である自動的な運動現象を示標にしたわれわれの実験成績を紹介し,つぎに,薬物の血行内投与によつて長い時間つづく海馬発作波と行動変化の相関について,これまでの知見を述べてみたい。
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