Japanese
English
特集 脳腫瘍再発の問題点
グリオーマ
Problems on the Reccurrence of the Gliomas of Brain
都留 美都雄
1
,
高村 春雄
1
,
阿部 弘
1
,
岩崎 祐三
1
1北海道大学医学部脳神経外科
pp.117-122
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201986
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I.緒言
脳グリオーマ再発の問題点というのが,私に与えられた課題であるが,脳のグリオーマの治療においては,脳の解剖学的構造および機能ならびにグリオーマそのものの性質から,その治療法に初めから限界あるいは制限が存在するのであって,身体他部の腫瘍のごとくに,完全に腫瘍を摘出するとか,あるいは完全に腫瘍を破壊するということが,不可能なことが少なくないのである。したがつて脳グリオーマの治療にさいして,初めから腫瘍の全摘出を断念し,その部分的切除に終るとか,あるいは他の姑息的手段にゆだねるというわけで,腫瘍そのものを残存せしめることが,心外ではあるがしばしば存在する。したがって,グリオーマの再発について論ずるということは,グリオーマの治療の限界,あるいはその限界ある治療によるグリオーマの予後あるいは治療効果がどういう状態にあるかということを論ずることが,目的にかなうのではないかと考えられる。そこで,ここでは,そのような観点から,私の経験を中心として話をすすめていきたい。
グリオーマ神経膠腫というのは,神経組織の支柱であるglia細胞およびその細胞がmedullar epithelから発生分化してくる途中の各段階の各種の細胞と同種の細胞からなる腫瘍を総称するのであって,身体他部に発生する他の腫瘍と異なる性質をいくつかもつている。
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