連載 神経病理基礎実験法
中枢神経系の肉眼的検査(3)
並木 秀男
1
,
松山 春郎
2
1長崎ABCC病理
2慶大医学部病理
pp.1050-1053
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201933
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VIII.脳の切割sectioning of the brain
1.脳室系renticularsystem
2.脳実質の病変cerebralparenchymal
1)血管性病変vascularlesions
(以上8月既載)
2)脊髄の血管病変
脊髄内の大量出」虹は脊髄出血hematomyeliaといわれ,出血は灰白質内に起こることが多い。脳の大量出血と同様に,病変周囲組縮は圧排されるが,ひどい破壊を示さないことが多い。脊髄出血はまれに見られる病変であるが,その原因は血管奇形(血管腫)の破綻であることが多いといわれる。出血部をていねいに包埋し,連続切片またはstep sectionsを作成して組織学的検索を行なうべきである。外傷により椎骨の脱臼または骨折を起こして死亡した症例では罹患部の脊髄が出血性に見えるが,これはhematomyeliaではなく挫傷contusionまたは出血性梗塞と解釈すべきである。
脊髄の梗塞症infarction of spinal cord (または脊髄軟化症myelomalacia)(本稿第11回,7月号709ページ参照)は脳の梗塞症に比べて発生歩破がかなり低い。これは通常前脊髄動脈anterior spinal arteryの閉塞,特に動脈硬化症による閉塞のために起こる。塞は両側の前角に限定しており,第4胸髄および第1腰髄およびそれらの上下の脊髄節に見られることが多い。脊髄の肉眼的検査にさいしては多数の切割面を作成しないと小梗塞巣は見落される。
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