特集 脳底部に異常血管網を示す疾患群をめぐつて
多彩な側副血行を伴うウィリス環閉塞症
野村 隆吉
1
1国立名古屋病院脳神経外科
pp.777-778
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201896
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I.はじめに
脳あるいは頭蓋内の血管疾患は近年にいたり,急激にその症例が増加し,その臨床病理学的知見も豊富になつてきた、このことは,もちろん臨床神経学の発達によるところが大きいのであるが,他方では薬物療法の進歩がこれら血管疾患のさらに詳細な分類・鑑別を要求するようになつたことも大きい原因といいえよう。しかし,具体的に何が脳あるいは頭蓋内の血管疾患の診断を容易かつ確実にしたかといえば,それは最近の脳血管撮影法の進歩と普及とである。
脳動脈瘤,脳動静脈奇形,脳動脈硬化症,脳動脈閉塞症などの疾患では,脳血管撮影法は補助診断の域を越えて,唯一の確実診断法といいうる重要な診断法であり,それによつて適切な治療法が用いられ,立派な臨床成績があげられるようになつたことは,衆知のところである。
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