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〔65〕脳腫瘍の組織化学的研究
50例の脳腫瘍につき,5種の水解酵素および8種の脱水素酵素の組織化学的検索を同時に行ない,各腫瘍の組織化学的特性を追求した。実験方法は手術時摘出標本をただちにクリオスタットで20μの連続切片とし,水解酵素系は主にazo-coupling法,脱水素酵素系はnitro-BTを水素受容体として用いた。
1) meningioma:alkaline phosphataseはfibro—blastic, meningothelial, malignantの順に活性が判然と低下し,acld phosphataseの活性もmalignant型でやはり低下していた。なおβ—esteraseおよびβ—glucuro—nidaseの活性は反対にmalignat型で上昇する結果を示した。脱水素酵素系は全体として活性が強度で,とくにsuccinic,lacticおよびnialicの各脱水素酵素に非常に強く,その他のものでは中等度きたはそれよりやや低い活性を認めた。しかし3型の間にいらじるしい活性の差および特徴はみとめえなかつた。2) neurinoma:水解酵素系は中等度以下の弱い活性を示し,とくにalkaline phosphatase, aminopeptidaseで最も弱い活性を示した。脱水素酵素系でもmeningiomaより弱い活性を示した。3) glioma系:oligodendrogliomaのalkaline phospha—taseおよびglioma全例のβ—gJucuronidaseをのぞいて一般に水解酵素はmeningiomaに比べると弱い活性を示し,さらに分化度の低いものほど活性が低下する傾向を示した。astrocytoma grade III〜IVにてはほとんど活性をみとめえなかつた。β—esteraseも同様の傾向を示したがそれほど著明ではなく,aminopeptidaseではgli—oma系で全例にまつたく活性を示さなかつた。脱水素酵素系もmeningiomaと比べると活性は弱く,また分化度の低いものほど減少する傾向を示した。
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