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■Texas Medical Centerでの仕事
米国第6の都市Houstonのほぼ中央南よりにあるTexas Medical Centerは,Baylor大学医学部を中心として6つの病院,3つの研究所その他を容する南方最大の医学中心地である.北側はTexas独立当時の英雄Sam Houstonの銅像のそびえるHermann公園に,西側は美しい建物とキャンパスとで有名なRice大学につづく。Baylor大学解剖学教室,Perry教授のもとで脳の形態学的研究に従事してほぼ1年4ヵ月をへたので,少しばかりここでの仕事を紹介し,学会その他二,三の感想を述べてみたい。
私の関係している仕事のひとつはgoldthioglucoseによるマウス視床下部破壊とfood intake-obesilyとの関連で,とくにrentromedian nucleusがglucoreceptorであるとの考えを再検討するため,種々の条件のもとにおける病変の量的質的測定を行なつている。これについては来年(1965年)日本で開かれる万国生理学会の分科会のおりにシンポジアムが行なわれる予定になつている。またgoldthioglucoseによる病変が従来から知られていたventromedial nucleus以外にもおこることが当教室の仕事から明らかにされたが,これらの部位が古典的な脳血液関門の存在しないmediane minence, area postrema, subfornical organ, supraoptic regionに近いところから,この薬物を実験的手段として電子顕微鏡による脳血液関門の形態学的研究(とくにグリア)を行なつている。
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