病院の広場
創造的破壊ということ
吉岡 観八
1
1千里保健医療センター新千里病院
pp.17
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203917
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沈丁華が幽かに香る万博会場ならびに千里ニュータウンは激しい寒波におそわれ,桃のつぼみもしぼみ,ふるえている,きょうこのごろであるが,‘人類の進歩と調和’という錦のみ旗を掲げた万博の開催に際して,私どもの新千里病院では,救急患者をはじめ,外人の患者にボツボツ忙殺されはじめた.したがって,本院はその使命の1つである当ニュータウン地域保健医療に努力することはもちろん,国際親善の立場からも,会期中万遺漏なきを期している昨今である.さて今日の世相は‘断絶の世界’だとよく耳にするが,この世代の若人たちを,私どもはどう教育し,指導していくべきかについて,いろいろ考えさせられる面が多い.この際,‘創造的破壊’ということを,よく考えてみなければならないと思うのである.この創造的破壊とは,過去の伝統が全く無視され,その伝統が踏襲されることもなく,さらに,その伝統は破壊されてしまって,抜本的な,新しい創造による急激な大革新が行なわれることをいう.すなわち,古いものと新しいものとが自然科学・人文科学・社会科学の分野で共存して,しかも,これらの新旧の混在が起きているのだが,これらの環境の中で,改革・転換が過去の伝統にとらわれることなく,一足とびに,あるいは突然変異的に脱皮して行なわれることを意味する.
今日の情報化時代では,ことに,このような革新的な前進を,私は‘創造的破壊’と考え,また,この創造的破壊は,今日の1年が昔の100年に相当するような急速な開発がされる
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