Japanese
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脳の生理に関するシンポジウム 脳の外科を中心に
人大脳半球剔除術の実例について
Neurological Considerations on the Cases of Cerebral Hemispherectomy.
植木 幸明
1
Komei Ueki
1
1新潟大学医学部脳研究室
1Department of Neurosurgery, Niigata University Hospital. Neurological Institut, Niigata University School of Medicine
pp.1-10
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901562
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大脳半球剔除術は脳腫癌のある場合,並に所謂脳性小児麻痺で半側のみの運動麻痺があり,且つ抗痙攣剤で制禦し難い癲癇発作を伴うもの,更に之に加うるに知能低下,精神障碍,爆発狂暴性等を併有する場合に行われて,好結果を得ている。勿論残存すべき大脳半球は健康なるを要する。この手術の考え方は剔除すべき半球に於ける高度な病的変化が反対側半球へも悪影響を及ぼして居りこの半球を剔除することにより残存半球はより正常な機能を営み得る様になることを期待しているのである。ここで適応等詳細な臨床的事項について述べることは適当でないし,又その必要もない。ただ実際問題として大脳半球剔除術の対象となるべき症例は決して多くなく,否非常に稀なものであると云うことを述べるに止める。
吾六は過去1ヵ年半の間に脳性小児麻痺の3例に大脳半球剔除術を行つた。共通の症状として,半身の痙性麻痺抗痙攣剤で制禦し難い癲癇発作,精神知能障害,爆発狂暴性を有したものである。而して左半球剔除術が2例,右半球剔除術が1例である。
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