- 有料閲覧
- 文献概要
学生または医師は,どんな科目を専攻しようと少なくとも一組の系統解剖学の教科書を持つているのが普通であるし,また程度の差はあつてもいつかまたひつくり返して調べる必要にぶつかるにちがいない。そして,多分臨床関係の人はなんとなく不満を感ずるであろう。なぜなら臨床解剖学の本は別として,従来の系統解剖の本は解剖学者の立場だけから作られているからである。それならば臨床解剖の本か局所解剖の本をみればよいようなものだがやはりそれでは具合の悪い場合もある(だいたい前者は図が少ないし,後者はごたごたしている)。このようなときに最も適当であろうと思われるのが本書である。
このアトラスの特徴は,緒言にもあるように,人体というものはけつして教科書にのせられているような画一的な標準型を常に示すものとはかぎらず多くのヴァリェーションがあることを強調し,平生であういろいろな型を適時多くの図によつて示していること,それでいながらきわめて稀な,おそらくは一生涯児ることがないような例は除外して読者の負担を軽減することに努力しているという柔軟な考えにもとづいて編集されていることと,多くの専門科目の教科書の頭初にでてくる解剖解説図のように,明らかに臨床家んの利用を意識してつくられていることである。たとえば私の乏しい知識の範囲ですら,女性生殖器のところの図はCURTIS & HUFFMANのTextbook of Gynecologyにものせられており,その他Surgery, Gynecology & obstetricsやAmerican Journal of Roentyerlology & Radium TherapyやAnatomical Record等の論文でみた図が収められている。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.