Japanese
English
文献抄録
多血症の神経症状
Neurologic complications of polycythemia
Silverstein, A.
,
Gilbert, H.
,
Wasserman, L. R.
pp.384
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201459
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Mt. Sinai Hosp.の多血症511例について神経学的症状を精査した。初発症状では頭痛(41%),メマイ(30%),知覚異常(13%),視力障害(11%),耳鳴り(3%)などが主なものであつた。頭痛の性状には特別の特色なく,頭痛を主徴として来院し多血症を発見されたものがある。以上の症状出現はHt値の高いものにいちじるしく,脱血でHtが低くなると症状もさる。脳血管傷害は48例(9%)あつたが,大多数は45歳以上でHt60以上,また半数以上が高血圧であつた。ふつう多血症を先に発見したが,脳血管傷害が先にみいだされたこともあつた。このうち31例は脳血管傷害が急に発来し,その後数ヵ月のうちに改善した。残る11例は一過性の脳阻血症状を呈した。症状の最も長く続いたのは13年であつた。進行性の大脳症状は10例で,うち6例が死亡した。ケイレンは4例,鬱血乳頭は3例,錐体外路症状は3例にみられた。鬱血乳頭は脳腫瘍を疑われ,開頭し,腫瘍なく,死後剖検で脳軟化,脳出血などをみた。この成績を文献と比較すると頭痛35-85%,メマイ28-70%,視力障害16-30%等であるから,著者例では神経症状がやや低率のほうである。脳血管傷害は諸文献5-19%の頻度で,著者の9%は低い部に属する。こうした傷害は血管内の血栓形成に深い関連があり,脳血流減少,脳血管抵抗増大に結びつくところがあるが,また多血症における出血傾向,つまり脳出血によることもあるであろう。そうした点で,症状発現頻度に差がでてくると思われる。鬱血乳頭は頭蓋内圧亢進,血栓,呼吸機能不全など諸説がある。
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