Japanese
English
文献抄録
CO2増加による神経症状,他
The neurologic syndrome due to marked hypercapnea with papilledema,他
Miller, A.
,
Bader, R. A.
,
Bader, M. E.
pp.12
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201393
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
52歳男が長年の閉塞性肺気腫で,この5年ほど鬱血乳頭があり,頭痛・悪心・嘔吐など脳圧亢進症状を呈し,健忘・傾眠・人格変化・錯迷・憺妄・昏睡などを呈した。Mt.SinaiHosp.に収容され,精査された。血清CO2110〜114vol%, pCO296〜116mmHg,O2飽和度62〜89%である。肺性心を伴つた閉塞性肺気腫で,気管支炎が著明である。抗生物質・強心剤・IPPBなどで治療,少しずつ軽快した。重症肺気腫では頭痛・嘔吐などの脳圧亢進は稀でなく,鬱血乳頭は10%ほど見られる。しかし髄圧と鬱血乳頭とは必ずしも平行しない。この患者の髄圧は600mmほどにも昇つたので,鬱血乳頭の重大な因子であつたろう。その他静脈圧亢進があり,また,高CO2+低O2で脳血管拡張・脳血管抵抗低下があつたものと思われ,鬱血乳頭の成因は単純ではあるまい。頭痛は脳圧亢進と脳血管拡張のためであろう。さきに述べた精神症状だが,CO2麻酔における精神症状は脳圧には一定の関係がない。そのひとつの原因はアシドージスであろう。また高K血症がおこると精神症状は却つて軽快するが,この症例ではK正常であった。ケイレン・ミオクローヌス・粗大クロニック運動・麻痺などの運動障害を見たが,EMG・EEG所見は肝性昏睡のそれに似ている。肝不全がなくても,肺不全で高アンモニア血症がおこりうる。またCO2は皮質の被刺激性を抑制する。運動障害はアシドージスによるのではない。治療はCO2除去に向けられ,抗生物質・気管支拡張剤・核痰・消炎・強心等と共に補助呼吸・気管切開が必要となる。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.