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特集 脳の血管性疾患
〔3〕脳の血管性疾患における脳血管撮影の意義について
CEREBRAL ANGIOGRAPHY IN CEREBRAL VASCULAR DISEASES
野村 隆吉
1
,
鈴木 一男
2
Takayoshi Nomura
1
,
Kazuo Suzuki
2
1国立名古屋病院脳神経センター
2名古屋大学医学部橋本外科
1Neurosurgical Center, National Hospital of Nagoya
21st Surgical Clinic, Nagoya Univ. School of Medicine
pp.1003-1008
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201361
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私は脳の血管性疾患が脳血管撮影法によつて,どのように現われるか,また脳血管撮影法が脳の血管性疾患の診断拠どのような役わりをはたすものかを,若干の症例を挙げて考えてみたい。
脳外科手術の対象としてまず挙げられるものは頭蓋内出血で,第一に外傷性のものであろう。第1図は頭部外傷後約1カ月目に来院した硬膜下血腫の症例である。動脈撮影前後像において典型的なavascular areaが見られるが,さらに注意すべきは,後大脳動脈が強く正中側に押しつけられていることである。これは血腫の圧迫が脳幹部におよんで,脳幹部の健側への偏位を示している。側面像(第2図)で見ると,後大脳動脈は同時に下方へも押されていることが認められる。これらの所見はこの側のtemporal coneの存在を示し,脳幹の機能障害を予告するものであつて,早急な外科手術が必要であることを物語つている。
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