特集 頭部外傷
〔17〕総括
浅野 芳登
1
Yoshito Asano
1
1熊本大学医学部外科
1Dept. of Surgery, Kumamoto Univ. School of Medicin
pp.964
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201354
- 有料閲覧
- 文献概要
長時間御静聴いただきありがとうございました。これで本シンポジアムについて,追加の御発言についてのいつさいの討論をとりあげ,やつとここで2分ばかり超過して終わつたわけです。この点は,演者のみなさま方,また会場のみなさま方に対して,非常に申しわけなく,恐縮しております。実は私に,会長からなにか総括としてあとで述べよという御命令がありましたので,私もなにか一言しやべらざるをえないということになり,私どもの経験例を持つてまいりましたけれども,これは始める前に撤回してしまいました。それでもう1, 2分お借りしまして,ここでいま拝聴しましたことについてちよつとだけ述べさせていただきたいと思います。
頭部外傷のことでは,急性期治療に関し,その他のとり扱いに関する問題が,非常に多かつたように思います。結局その手術の適応のことについて,だいたい来た患者をみんな手術したらいいではないかという考えも浮ぶだろうというようなことを,北村氏でしたかがおつしやいました。これはもつともなことと思いますが,私どもの経験からいたしますと,私どものところに来た患者でも,すでに手遅れでなんにも手をつけられない状態のものを回しでくる。1日も2日も放つておいて,につちもさつちもいかないので運んでくる。はなはだしいのは,運んできて玄関で輸送車に移したとたん死んだ,そういうのもあります。そういうことから考えると,頭部外傷は,みな手術の適応にせよということより,頭部外傷は,全部設備の整つた医者のところに,早く運べというほうがいいのではないかと思います。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.