Japanese
English
文献抄録
大孔部腫瘍,他
Tumors in the region of the foramen magnum,他
Cohen, L.
,
Macrae, D.
pp.924
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201342
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大孔附近の髄外腫瘍は脊髄腫瘍の臨床症状を呈さないので,誤診されやすい。著者は手術で確かめた,そうした4例を反省し,文献を展望した。第1例23歳男,左C3,根より発生の神経鞘腫。第2例48歳男,右C2根より生じた神経線維肉腫,第3例31歳女,斜台よりC2上縁におよぶ硬膜外髄膜腫。第4例31歳女,環椎と左軸間の硬膜外perineural fib—roblastoma。いずれも実際の大きさより広い領域の障害症状を呈し,多発硬化症を疑われ,腫瘍とは考えられなかつた。第3例は症状が一時停止,軽快した。一過性軽快は本症において,文献でもすでに報告が少なくない。いずれも後頭部不快重圧感,疼痛が初訴,ニスタグムスは1例のみ,胸鎖乳頭筋,僧帽筋の筋力減退は3例に見られた。中枢交感系の傷害症状なし。四肢症状発現順序はElsberg以来,1側上肢,ついで,同側下肢,最後に反対側下肢といわれているが,著者4例のうち,この順に従つた発現は1例のみで,他は不順となり,この順序は本症診断上に価値が少なかつた。知覚障害はburning dysesthesiaが主だつたが,さまざまの障害が混じて現われた。筋萎縮は手の筋群に最も強かつたが,進むと肩甲帯および上腕の筋群にも見られた。文献には肋間筋萎縮というのもある。こうした筋萎縮は本症以外の脊椎疾患にも認められ,成因は明らかでない。前脊髄動脈の圧迫狭窄はかならずしも証明されている訳でなく,根動脈閉塞も確実でない。脊髄の静脈系の圧迫・鬱血・脊髄浮腫が成因だろうという説も,にわかに肯ずけない。Qecken—stedtは2例に陰性。1例は症状一過性軽快。これらも,理由がよくわからない。
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