グラフ
妊娠時肺に見られるTrophoblast栓塞
相馬 広明
1
,
岡本 六蔵
1
,
平岡 玄次
1
,
豊田 泰
1
,
田村 貞夫
1
,
丸山 寿夫
1
1東京医科大学産婦人科教室
pp.297-300
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203866
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Schmorl(1893)により,子癇例の肺血管内にtrophoblast栓塞の存在を始めて記載されて以来,このような栓塞は妊娠時の肺にはかなりの頻度で見られるといわれている。しかもSchmorlが始めて本栓塞を記載したときは,これが死因に結びつくのではないかと推定されたこともあつたが,現在では否定されている。しかし子癇のような"けいれん"を伴う場合には,trophoblast栓塞の頻度は増すのではないかと思われているし,また一方では妊娠中の流血中のtrophoblast細胞の証明が行なわれてきており,trophoblastの肺栓塞の高頻度が予想されうる。
最近の頻度はBardawil(1959)等は,52.3%,Attwood, Park(1961)等は43.6%と報告している。妊娠分娩時に胎盤から剥離され子宮静脈を経て循環血中に入り,ついに肺毛細血管内に見られるというこの生理的なtrophoblast栓塞の頻度については私どもの55例の妊娠分娩時死亡剖検肺の各々組織標本(各1〜3ブロック)からの観察では,13例(23.6%)であり,かなり低率である。
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