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腦外傷(第1部)
清水 健太郎
1
,
加藤 静雄
1
,
宇多小路 正
1
,
佐藤 文明
1
,
吉岡 眞澄
1
1東大清水外科
pp.379-391
発行日 1956年1月20日
Published Date 1956/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200477
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緒言
脳の外傷は一種の文明病ともいえるもので,工場災害,交通事故等,その数は年々歳次増加するばかりである。所が脳外傷というものはいろいろなかたちで起り得るし,それによって生ずる損傷も又千差万別である。例えば脳外傷によつて直接死亡したと思われる場合,解剖によつて確めてみても本当の死因が納得できるという例は,むしろ稀である。又外傷性神経症などというものも,一体どういうものなのか,本当のことは私達には仲々わからない。急性期や後貽症の治療などに至つては,世界到る所,甚だ無策であるというのが,偽りない所であろう。この様なことを念頭において,私達は,教室で取扱つた症例の吟味から,従来の色々な疑問について,果してどの様な手掛りが得られるか,ひとつ試みてみるも,無駄ではないと思う。
先ず急性脳外傷について解察し,のち後貽症に及ぼう。
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