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海綿様竇内瘻孔性動靜脈瘤の経験
和田 淳
1
1北海道大学医学部精神神経学教室
pp.279-285
発行日 1954年9月1日
Published Date 1954/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200415
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〔1〕
海綿様竇症候群は1872年Bartholowにより始めて記載されたが,その後1917年J.S.B.Stop-fordのこの部の傷害殊に動脈瘤による症候群の記載,1922年更にFolxによる補遺を経て1938年JeffersonによりV神経領域の障碍及び眼筋麻痺を中核とする症候群が詳細に検討整理されて今日に及んでいる。
さて海綿様竇は頭蓋内で大静脈と大動脈が相接触する唯一の部位であつて,又他の身体部位に於てもこの部の如く太い動脈が静脈内を走り,動脈の壁が直接に静脈の壁をもなしている場所はない。従つて脳の他の部分て動静脈内の結合があるとすればそれは先天性のものと考えられるが,内頸動脈の海綿竇内の部分は前述の如き理由から一つの例外をなすものであつて,この部分で動脈の破裂があるときは,それは直ちに動静脈間の連結を来し,ここに海綿様竇内瘻孔性静脈瘤(以下C.C.F.A)が発生するわけである。
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