Japanese
English
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硬脳膜下膿瘍(Empyema)の2治驗例に就て
On the two cured cases of subdural empyema
植木 幸明
1
Ueki Yukiharu
1
1Department of Neurosurgery, Niigata University School of Medicine
pp.199-203
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200355
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硬腦膜下膿瘍(Empyema)は頭蓋内感染のうちでは重要な疾患であるに拘らず比較的注目されていなかつた。唯耳鼻科領域に於てはこの疾患が副鼻洞炎,中耳炎等に原因することが多い關係上多數症例の報告があり,例えばRay and Persons1)(1943)は前額洞炎に合併せる3例の報告と共にその感染經路に考察を加え,Courv-ille2)(194)は同樣前額洞の急性化膿性炎の結果起つた42例の報告と文献の渉獵考察を行つている。一方抗生物質の發見はそれ以前に於ける斯かる疾患の悲觀すべき治癒成績を著しく向上せしめ,100%に近い治癒率を擧げ得るに到り,かゝる觀點から外科領域に於ても近時種々報告をみるに到つた。我國に於ては廣中3),天野4),河井5),減部6),森川,高橋7),中島,內藤8)等1例乃至2例の報告をなしているが何れも中耳炎の手術を行い之を發見し又は合併症として之を惹起せしめたもので,典型的な硬腦膜下膿瘍として存在し,之を外科的に手術治癒せしめた例の報告は見當らない。私は最近2例の大腦半球弩窿部に生じた硬腦膜下膿瘍の2例を得,之を手術治癒せしめ得たので報告し少しく考察を加えてみたい。
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